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年長さんと対話型鑑賞

今日はいつもの創作と違い「鑑賞」
もうすぐみんな一年生。
「見る→話す→聞く→考える→見る→話す…」を
繰り返しながら作品鑑賞できるかな、
と思ったのでやってみました。
「美術館に行ったことある?」と聞くと
行ったことある子は全体の1/3ほどでした。
子どもたちには鑑賞の約束事と
「無理に話さなくても心の中で思うだけでも良い」と伝えました。

幼児との鑑賞は初めてで作品選びも悩みましたが、
具象、抽象、立体の3点を準備。
1つ目藤田嗣治の「校庭」
2つ目カンディンスキーの「コンポジション IIのための習作」
3つ目は僕が作った「Trompe-l’œil」(だまし絵の意味)
この順番で見てもらいました。
1つ目を鑑賞中の子どもの言葉を書き出すと、
「みんな似たポーズ」「色々な格好」「ティアラしてるから先生」
「発表会みたい」「バレエ」
「先生は肌色じゃなくて白い」←藤田の色!
最初は服装、髪型などが似ている、という発言が多かったけれど
後半は「先生の方を見てる」「目があってる」など
視線や細かい部分もしっかり見てくれました。
1つ目鑑賞後に「もう一つ見てみる?」と聞くと
「見る」と返ってきたので2つ目のカンディンスキーを鑑賞。
子どもの言葉は
「カップケーキ」「犬」「オウム」「モグラの家」
「戦争」→「どうしてそう思ったの?」と聞くと
「真ん中の黒色が悪い人で、右の赤い人が逃げてる。左下にも人がいる」
との事。感じた根拠もしっかりしていました。
「左下に海」「森みたい」「右下に漢字の三」など。
2つ目ということもあり緊張が解けて言葉が沢山出ました。
やはり抽象は自由な発想がしやすく、
自分の知識に沿って見立てる姿がありました。

最後に少しだけ彫刻も見てもらいました。
子どもが見やすいように展示台も低く作りました。
「リスかな」「口が悲しそう(可愛そう?)」
「うさぎが魔法使いに羽をつけてもらった」
背中を見て「羽みたい」「尻尾みたい」
割れ止めのチギリを「蝶々みたい」「リボン」など。
先生が「手がないのは何故だろう」と子どもたちに問いかけると
「あ〜」という声が漏れました。
子どもたちには手がない事は特に気になる点ではなかったようで、
ありのままを受け入れているようでした。
先生の質問に「マントに手を隠してるから」と答える子もいました。
「耳が尖ってる」という意見もあったのですが、
立体物なので形を観察するという事にも繋がっていたようです。
平面と立体を共に鑑賞する事で見え方の違いも
感じてくれたかな、と思います。
鑑賞後、子どもたちに感想を聞くと
「楽しかったけど作る方が好き!」という声が圧倒的。
「作品を見る」も作る事やテレビを見る事と
同じくらい日常になってほしいな、と思いつつ、
手を動かして作る行為はとても楽しいし重要だよなと、思ったり。
ともあれ、今日の体験が彼らの今後に活きてもらえれば嬉しい。
今回は保育園の先生方のご理解があって実現しました。
子どもから出てくる言葉は鋭くハッとする事も。
反省を踏まえて、またこのような機会が持てればと思います。
鑑賞後にそれに因んだ何かを作っても良いかもな。

※片付けの時に僕の作品を触ったり、匂ったりしてもらいました。
「触っていいの?」「匂いがする」と良い反応でした。
子どもの日常に作品を置くという事が
子どもにも大人にも新しい感覚や発見に繋がるかもと思った場面でした。

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